有限要素法は,現代の数値シミュレーション技術の屋台骨を支える基盤技術の一つであり,端正な数学理論で正当性が保証されている.特に,要素の形状や三角形分割の仕方と,有限要素解の数学的性質については,収束性や安定性の他にも,いろいろなことが知られている.しかし,その際に用いられる,最小角条件,最大角条件,外接半径条件,Delaunay型条件,逆仮定などの諸概念は,個別の数学的性質を説明するための仮定として登場するため,各々の関係を統一的に説明する一貫した理論は存在しない.本研究では,空間2 次元問題の有限要素法に対象を限定して,何が``良い"要素形状なのかを数学的に明快に表現する一貫した理論を構築し,実用計算に真に役立つ数学的な研究を行う.